ナミュール(2019.3.2)-第40回マイルチャンピオンシップ(GI)の勝ち馬-

ナミュール 牝 鹿毛 2019.3.2生 安平町・ノーザンファーム生産 馬主・(有)キャロットファーム 栗東・高野 友和厩舎

ナミュール(2019.3.2)の4代血統表
ハービンジャー
鹿毛 2006.3.12
Dansili
黒鹿毛 1996.1.27
デインヒル
鹿毛 1986.3.26
Danzig 1977.2.12
Razyana 1981.4.18
Hasili
鹿毛 1991.3.12
Kahyasi 1985.4.2
Kerali 1984.3.4
Penang Pearl
鹿毛 1996.3.11
Bering
栗毛 1983.3.20
Arctic Tern 1973
Beaune 1974.4.10
Guapa
鹿毛 1988.5.4
Shareef Dancer 1980.3.3
Sauceboat 1972
サンブルエミューズ
栗毛 2010.1.23
ダイワメジャー
栗毛 2001.4.8
サンデーサイレンス
青鹿毛 1986.3.25
Halo 1969.2.7
Wishing Well 1975.4.12
スカーレットブーケ
栗毛 1988.4.11
ノーザンテースト 1971.3.15
スカーレツトインク 1971.5.5
ヴィートマルシェ
鹿毛 2002.4.16
フレンチデピュティ
栗毛 1992.1.30
Deputy Minister 1979.5.17
Mitterand 1981.2.19
キョウエイマーチ
鹿毛 1994.4.19
ダンシングブレーヴ
鹿毛 1983.5.11
インターシャルマン
鹿毛 1987.3.12

<5代血統表内のクロス:Northern Dancer5×5×5、Lyphard5×5>

ナミュール(2019.3.2)の血統の簡易まとめ
母父 祖母父 曾祖母父
ハービンジャー
(デインヒル系)
ダイワメジャー
(サンデーサイレンス系)
フレンチデピュティ
(Deputy Minister系)
ダンシングブレーヴ
(Lyphard系)
牝系 母の何番仔?
叔母マルシュロレーヌ
(No. 7-d シユリリー系)
3番仔
(3連産目)

*

2023年の第40回マイルチャンピオンシップ(GI。京都芝1600m)の結果(上位5頭)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 通過
順位
上り
3F
馬体重
[増減]
調教師
1 16 ナミュール 牝4 56 藤岡 康太 1:32.5 14-15 33.0 454
[0]
高野 友和 5
2 1 ソウルラッシュ 牡5 58 J.モレイラ 1:32.5 クビ 9-8 33.6 508
[+2]
池江 泰寿 3
3 5 ジャスティンカフェ 牡5 58 坂井 瑠星 1:32.6 1/2 9-11 33.6 504
[+4]
安田 翔伍 7
4 7 エルトンバローズ 牡3 57 西村 淳也 1:32.7 3/4 6-8 33.9 514
[+8]
杉山 晴紀 4
5 6 ダノンザキッド 牡5 58 北村 友一 1:32.8 クビ 14-13 33.5 540
[+8]
安田 隆行 6
2023年の第40回マイルチャンピオンシップ(GI。京都芝1600m)のラップタイム
1F毎の
ラップ
12.5 – 10.5 – 11.3 – 12.2 – 11.7 – 11.6 – 11.5 – 11.2
ラップの
累計タイム
12.5 – 23.0 – 34.3 – 46.5 – 58.2 – 1:09.8 – 1:21.3 – 1:32.5
上り 4F 46.0 – 3F 34.3

*

京都芝1600m、晴の良馬場、16頭立て。

出走メンバー中「紅一点」だったナミュール、大外からのスタートで立ち上がり加減になって却って腹が決まった感もあり、後方2番手の位置から外をぶん回して牡馬たちを撫で斬り。思えば曾祖母キョウエイマーチも「18番枠ものかは」で大外発進から桜花賞(GI)勝ちを収めました。そして曾祖母が最後の重賞勝ちを収めたのは京都芝1600mの京都金杯(GIII)でした。そしてまた曾祖母が世界のマイル王・タイキシャトル(1994.3.23)に続いて2着に入った第14回から26年、星霜を経て曾孫が秋のマイル王に輝きました。

では、以下にナミュールの簡単な近親牝系図を示しておきます。なお、近親牝系図内のレース名、格付けはいずれも施行当時のものです。

キョウエイマーチ 1994.4.19 8勝 桜花賞(GI) ローズS(GII) 報知杯4歳牝馬特別(GII) 京都金杯(GIII) 阪急杯(GIII)ほか
|ヴィートマルシェ 2002.4.16 1勝||サンブルエミューズ 2010.1.23 3勝 芙蓉S(OP) フェアリーS(GIII)3着
|||ヴェスターヴァルト 2017.3.16 4勝 ファルコンS(GIII)3着
|||ナミュール 2019.3.2 (本馬) マイルチャンピオンシップ(GI) 富士S(GII) チューリップ賞(GII)ほか
|||ラヴェル 2020.2.14 現役 アルテミスS(GIII)
||アヴニールマルシェ 2012.2.4 2勝 東京スポーツ杯2歳S(GIII)2着 新潟2歳S(GIII)2着
||マルシュロレーヌ 2016.2.4 9勝 ブリーダーズカップ・ディスタフ(米GI) エンプレス杯(JpnII) レディスプレリュード(JpnII) ブリーダーズゴールドC(JpnIII) TCK女王盃(JpnIII)ほか
||バーデンヴァイラー 2018.3.19 現役 佐賀記念(JpnIII) マーキュリーC(JpnIII)ほか
|トライアンフマーチ 2006.4.11 3勝 キャピタルS(OP) パラダイスS(OP) 皐月賞(JpnI)2着ほか

ナミュールの牝系は7号族d分枝系のシユリリー(1925)系。ナミュールにとっては10代母となる古の基礎繁殖牝馬の系統から送り出された活躍馬にはクインナルビー(1949.4.13)、オグリキャップ(1985.3.27)&オグリローマン(1991.5.20)兄妹、リンデンリリー(1988.3.16)等もいます。そうしてキョウエイマーチは孫の代にマルシュロレーヌ、バーデンヴァイラー、曾孫の代にナミュール、ラヴェルと2020年代の今に活躍馬を続々と送り込んでいます。

国立国会図書館デジタルコレクション

改めて国立国会図書館デジタルコレクション、恐るべしというところですね^^;

*

ナミュールの父ハービンジャーはディアドラ(2014.4.4)、モズカッチャン(2014.2.27)、ペルシアンナイト(2014.3.11)、ブラストワンピース(2015.4.2)、ノームコア(2015.2.25)に続いてナミュールが6頭目のGI馬となりました。2017年の秋にディアドラ、モズカッチャン、ペルシアンナイトと3年度産駒の3歳馬たちが立て続けに京都のGIレースを勝った時に「淀のハービンジャー産駒」と思ったものでしたが、ペルシアンナイトが誘導馬を務めた今回のマイルチャンピオンシップ、同じ父を持つナミュールが見事な末脚を見せてくれました。

またナミュールの母父ダイワメジャーはブルードメアサイアーとして初めてのJRA・GI勝利となりました。セリフォス(2019.3.7)の「父仔によるマイルチャンピオンシップ連覇」は成されませんでしたが、マイルチャンピオンシップ3年連続連対のダイワメジャーの血を母方から受け継いだ孫が、池の周りを走る京都のGIマイル戦で勝利を収めたのでした。

そしてまたナミュールの鞍上を務められた藤岡康太騎手。今回はライアン・ムーア騎手の落馬負傷による急きょの乗り替わり、テン乗りでしたが見事な一発回答を見せてくれました。2009年にジョーカプチーノ(2006.4.11)でNHKマイルカップ(GI)を制してから14年。久しぶりにGI制覇を遂げた藤岡騎手の姿を見たのですが、ヒーローインタビューに応える様を見て「藤岡弟も落ち着いた感じになったなぁ。いくつ…、あぁ、もう35歳になるんかぁ」と、時の流れを思いました。ずっと達者な藤岡騎手はワグネリアン(2015.2.10)の神戸新聞杯(GII)やマカヒキ(2013.1.28)の京都大賞典(GII)などで友道康夫厩舎の裏主戦的な活躍を見せられて来ました。藤岡騎手、改めてGI大舞台でその達者ぶりを見せ続けて欲しいものです。

秋映えの淀のマイルGI舞台、「16番枠ものかは」でGI初制覇を遂げたナミュール。

  1. 阪神ジュベナイルフィリーズ(GI)
    →1番人気もサークルオブライフ(2019.3.24)の4着
  2. 桜花賞(GI)
    →1番人気もスターズオンアース(2019.2.27)の10着
  3. 優駿牝馬(GI)
    →4番人気でスターズオンアース(2019.2.27)の3着
  4. 秋華賞(GI)
    →2番人気でスタニングローズ(2019.1.18)の2着
  5. エリザベス女王杯(GI)
    →3番人気でジェラルディーナ(2018.5.12)の5着
  6. ヴィクトリアマイル(GI)
    →2番人気でソングライン(2018.3.4)の7着
  7. 安田記念(GI)
    →9番人気でソングライン(2018.3.4)の16着

と、これまで7度の挑戦で跳ね返されて来たGIレースにおいて「八度目の正直」を果たしたのでした。憑き物が落ちたら、後はトントン拍子になることもあります。ナミュール、キョウエイマーチの曾孫のさらなる活躍を期待したいもの。そうして、出来れば鞍上は、共に殊勲を立てた藤岡騎手で。

 

では、以上雪の家(ゆきのや)でした。これから走る馬、人すべてに幸多からんことを。

#マイルチャンピオンシップの牝馬による制覇はタカラスチール(1982.4.16)、パッシングショット(1985.4.26)、シンコウラブリイ(1989.2.2)、ノースフライト(1990.4.12)、ブルーメンブラット(2003.2.20)、グランアレグリア(2016.1.24)に続いてナミュールが史上7頭目でした。余談となりますが、ナミュールの馬主の(有)キャロットファームは前日にブルーメンブラットの仔シュトラウス(2021.1.24)が東京スポーツ杯2歳S(GII)を制しましたので連日の重賞制覇となりました。

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